夏の素泊まり

都内の、いつも通り過ぎる場所に仕事で宿泊。見慣れた光景も泊まれば、それは既に旅だ。夜中の首都高はキラキラしている。 この夏は有楽町、銀座に来ることが多い。場所として縁が無く、好きではなかったこのエリアに今月は何回も来て、そして楽しめている。過日、お取引先の重鎮と浅草橋の日本焼肉党に向かう。男気のある接客、肉を大事にする姿勢、そして何よりも焼肉で最も大切だと、個人的かつ勝手に感じているキムチの酸味が私の味蕾に合う。仮にお肉が旨くても酸味が過ぎたり辛味が強すぎるキムチを出す店には通っていない。その点、日本焼肉党のキムチは完璧であり、当然だがお肉もおいしく頂いた。冷麺に向かう。スープに程よい酸味と旨味を感じる。
味覚は五味に分類されている。五味とは「仏教で,酸味,苦味,甘味,辛味,鹹味 (塩味) の5つの味を意味する」としている。※Wikipediaから引用

五味のうち、どの味を身体や精神が欲するかという傾向を九星気学は導き出している。私の九星は、酸味を欲する星の生まれだ。他の人と味覚の違いがあるのは当然のことで、生まれた年や月日によってその好みまで違ってくるという中国古来の考え方は、機械システム化されたこの社会において、新鮮である。

子どもの頃の焼肉屋というのは大人の、しかも少しヤンチャなオッさん達が集う場所という印象があった。その頃、唯一入った焼肉屋は1970年代の吉祥寺 李朝園だ。30歳を過ぎて自ら勘定してその焼肉を食し、あの頃と同じ位置に額に飾られた巨人軍 王選手の写真を見た。

日本焼肉党は、酸味と旨味とあの時代の香りをしっかり残している。その日のうちに入党したのだった。

夏には不似合いな霧雨が降る。素泊まりは短く感じ、時の経過は早かった。


※一部写真はネットから転用